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M&A・事業承継の株価評価のコラム一覧

弁護士鈴木は、中小企業のM&A・事業承継に力を入れています。

ここではまず中小企業庁の公表資料「経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン(平成21年2月,中小企業庁)」の記載を引用(弁護士鈴木が適宜編集修正等)し、M&A、事業承継での経営承継法の固定合意の活用の重要性についてご説明をします。その上で特設ページ「M&A 弁護士 .com」の非上場株式の株価評価のコラム、株価評価の判例紹介のコラム一覧をご紹介します。M&A・事業承継を検討されている方は、ご参考いただければ幸いです。

 事業承継での経営承継法の固定合意の活用

 所有と経営が一致している同族会社が大半を占める中小企業の事業承継において、後継者が安定的に経営を継続していくためには、自社株式を後継者に集中的に承継することが重要です。しかし、先代経営者に後継者以外の相続人(以下「非後継者」 といいます。)がいる場合には、非後継者が有する「遺留分」が自社株式の集中の障害となる可能性があります。
 「遺留分」とは、配偶者や子などに民法上保障される最低限の資産承継の権利です。後継者への生前贈与や遺贈などにより、非後継者の遺留分が侵害された(実際に得られた相続財産が遺留分に満たないということです。)場合に、当該非後継者が遺留分減殺請求(侵害された自分の遺留分を取り戻すための請求)を行うと、当該請求を受けた後継者は財産の返還又は金銭による価額弁償を行わなければなりません。
 また、遺留分を算定する際の財産の価額は、生前贈与された財産を含めて、すべて相続開始時を基準として評価され、後継者の貢献により上昇した場合であっても、その貢献は考慮されず、単純に上昇後の価額で計算されてしまいます。このため、企業価値を上昇させればさせるほど、非後継者の遺留分の額を増加させることになり、このことが、企業価値を向上させようとする後継者の意欲を阻害するおそれがあります。
 そこで、経営承継法は、後継者が贈与により取得した自社株式について、「遺留分を算定する際の価額を合意の時における価額に固定する」ことを内容とする合意(以下「固定合意」といいます。)を行うことができ、経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可といった諸手続を経ることで当該合意の効果が生じることとしました。この「固定合意」を活用することで、後継者は、将来の企業価値の上昇に伴う遺留分額の増大を心配することなく経営に専念することが可能となります。
 なお、先代経営者から推定相続人たる後継者が自社株式の贈与を受ける場合、一旦、贈与税を納付し、相続時に相続税で精算を行う相続時精算課税制度を選択できます。この制度においては、相続税の計算を行うにあたり、贈与財産の課税価格は贈与時の時価とされています。
 しかし、相続時精算課税制度は、あくまで相続税の計算上、 評価時点を贈与時に固定するものであって、先代経営者の相続人間の権利関係を規律する遺留分制度の特例である固定合意とは、趣旨・目的が異なる制度です。
 したがって、生前贈与を受けた株式に係る贈与税の申告時に相続時精算課税制度などを選択したとしても、遺留分の算定に係る当該株式の価額を固定するためには、別途、先代経営者の推定相続人間において、固定合意を行わなければならなりません。その際、この場合の「価額」は、贈与税の「時価」とは異なるものであることに留意する必要がありますが、合理的に算定された「価額」は、「時価」の一つであるとも言えます。

 固定合意の意義と適正な株式価格(相当な価格)

 固定合意における価額は、「合意の時における価額(弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人がその時における相当な価額として証明したものに限ります。)」(以下「合意時価額」といいます。)であることが必要です。
 しかし、非上場株式の価額の評価方式には様々なものがあることからも明らかなように、唯一絶対の価額があるわけではありません。これは、非上場株式に限ったことではありません。例えば、同じ場所にあり、同じ面積の土地であっても、買主が隣地所有者である場合と、そうでない場合とでは、売買価格に差が出ることが考えらます。このように、各財産の価額は、当該財産を取り巻く様々な事情を勘案して決定されることから、事案ごとに評価の観点や方式が異なり、価額にはある程度の幅が生じ得ると考えられます。
 実際に固定合意を行うに当たっては、対象株式の発行会社の業種、規模、資産、収益状況や株主構成等を勘案して価額を算定することになります。実際には、上記のように価額にはある程度幅が生じ得ることを前提として、当事者間で種々の交渉を経て合意時価額が決定されると考えられ、一般的には、合理的意思を有する独立した当事者間において合意した価額であれば、「相当な」価額と言うことができます。
 しかしながら、自社株式の合意時価額の算定にあたり、合意の当事者である後継者と非後継者との間で利害が対立する場合があり、その際、主に以下の 2 つの情報に係る格差の問題があるため、合意の前提として、利害の調整を図りつつ、情報の格差を是正する必要があると考えられます。
 @自社株式の価額に影響を及ぼす会社資産(例:多額の含み益を有する資産)の存在や、実現可能性が極めて高い収益の見通し等については、一般的には、実際に会社経営に携わっている後継者の方が多くの情報を有しています。そのため、後継者が当該情報について恣意的な説明を行い、合意がなされた場合には、後日、紛争の要因となるおそれがあります。このような事態が起きないよう、後継者と非後継者は、会社に関する情報を共有し、十分な時間をかけて、合意形成を行うことが必要です。なお、実際に合意形成を成就させるには、関係当事者による十分な議論が必要であることから、信託銀行の事業承継コンサルタントなどの第三者と連携することも有効と考えられます。
 A株式の評価方式には、様々な方式が存在しており、どの評価方式を採用するかにより、価額に大きな影響を与え得るところです。この点に関しても、通常、「固定合意」の発意者が後継者であることを考えると、後継者の方が、非後継者に比べて、多くの情報を有していることが一般的です(評価方式に関する情報格差)。このため、実際に評価を行う弁護士、公認会計士及び税理士並びに各法人(以下「専門家」といいます。)が、それぞれの評価方式の特徴などについて、専門的見地から説明を加えることが重要です。
 上述した情報の格差を是正した上で、価額についての合意形成を行うことに加え、専門家の客観的な観点から株式の価額として相当である旨の証明を受けることが必要です。このため、経営承継法においては、「合意の時における価額」について、専門家が「その時における相当な価額として証明をしたものに限る」ことにより、客観的合理性を担保することとしています。

 非上場株式の株価評価のコラム(M&A 弁護士 .com)

1  株価評価:収益方式 純資産方式 比準方式
  ・ 株価評価の留意事項
  ・ 株式の評価方法:収益方式、純資産方式、比準方式
2  収益方式による株価評価(1):収益方式の種類
  ・ 収益方式による株式の評価
  ・ 収益方式:収益還元方式、DCF方式、配当還元方式
3  収益方式による株価評価(2):収益方式選択の留意事項
  ・ 収益還元方式、DCF方式選択の留意事項
  ・ 配当還元方式選択の留意事項
4  純資産方式による株価評価とその留意事項
  ・ 純資産方式:簿価純資産方式、時価純資産方式
  ・ 純資産方式選択の留意事項
5  比準方式による株価評価とその留意事項
  ・ 類似会社比準方式、類似業種比準方式、取引事例方式 
  ・ 比準方式選択の留意事項
6  国税庁方式による株価評価とその留意事項
  ・ 国税庁方式の仕組み
  ・ 国税庁方式選択の留意事項
7  併用方式による株価評価と評価方式に関する裁判例
  ・ 併用方式選択の留意事項
  ・ 非上場株式の評価方法に関する裁判例

 株価評価の判例紹介のコラム(M&A 弁護士 .com)

1  純資産方式を採用した判例
  ・ 株式評価について純資産方式を採用した判例
  ・ 純資産方式につき時価純資産方式を採用した判例
2  配当還元価額を類似会社の配当性向で修正した判例
  ・ 株式評価について配当還元方式を採用した判例
  ・ 配当還元価額を類似会社の配当性向で修正した判例
3  併用方式(純資産7、収益還元3)を採用した判例
  ・ 併用方式(純資産法70%、収益還元法30%)を採用した判例
  ・ 市場性欠如による30%の減価を行った判例
4  ゴードンモデルを採用した判例
  ・ 支配的持株数を有する大株主が存在しない会社の判例
  ・ 配当還元方式(ゴードンモデル)を採用した判例
5  併用方式(配当還元6、純資産・収益還元各2)の判例
  ・ 代表者一族が80%以上の株式を保有する同族会社の判例
  ・ 併用方式(配当還元6、純資産・収益還元各2)を採用した判例
6  併用方式(配当還元方式7、時価純資産方式3)の判例
  ・ 代表者家族の持分比率が約20%の会社の判例
  ・ 併用方式(配当還元70%、時価純資産30%)を採用した判例 
7  併用方式(配当還元方式5、純資産方式5)の判例
  ・ 役員報酬を配当金の変形とみなした判例
  ・ 併用方式(配当還元50%、時価純資産50%)を採用した判例
8  株式評価の方法に関する考え方を論じる判例
  ・ 譲渡制限株式の売買価格決定申立事件の判例
  ・ 株式評価の方法に関する考え方を述べた判例
9  DCF方式、ベンチャー企業の株式評価の判例
  ・ DCF方式の株式評価を採用した判例
  ・ ベンチャー企業の株式評価で収益還元方式を採用した判例
10 新株発行の株価評価の判例
  ・ 不公正新株発行の判例
  ・ 新株発行の株価評価(時価純資産方式)に関する判例
11 類似業種比準方式を併用した判例
  ・ 株主代表訴訟の判例
  ・ 類似業種比準方式を併用した判例
12 新株発行の差止仮処分申立事件の株式評価の判例
  ・ 不公正な価額による新株発行の差止仮処分申立事件の判例
  ・ 配当還元方式(ゴードンモデル)を採用した判例

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